*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

少し怒りがおさまった灯は、ゆっくりと振り向いた。




その視界に、息吹と天城にはさまれて、にこにこしている汀の姿が入ってくる。






「……………なぜ、笑っている」






低く訊ねると、汀はにっこりと首を傾げた。






「ふふふ、蘇芳丸はやっぱり優しいわねぇ、と思って」






「…………は?


俺は今、お前に対する怒りをなんとか押し殺しているだけだ」






「んま、そんなこと言って」






「…………許されるなら、お前を思いっきり殴ってやりたいくらい、俺は今、むかついている」






「ふふふ、本気じゃないくせに」






「……………もういい。知らん」








そのまま灯は、藤波の横を通り抜けて占い処を出ようとした。