*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

灯はきつい一瞥を汀と天城、そして不敵な笑みを浮かべている息吹に走らせてから、ゆっくりと踵を返す。




そのまま、出入り口の前に立った。






ちょうどその時、入り口の垂れ幕を引く音が聞こえてきた。






「ただいまぁ〜。


あーぁ、疲れたよ、まったく………」






間延びした呑気な声でそう言いながら、中に入ってきたのは。






「……………藤波」





「……………えっ!? あっ、灯!?」






藤波は目を瞠って、目の前に立つ灯を見上げた。






「…………藤波。


お前は、なにをしてるんだ」






低く問われて、藤波は冷や汗を垂らす。




しかし、嘘をついてもすぐにばれると観念し、正直に答えることにした。






「…………えーと、あの。


ちらしを配りに…………」






「…………はぁっ!?」






灯は険しい顔で藤波を見下ろした。




藤波は灯の怒りを感じ取り、慌てて言い訳を始める。