*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

見上げるほどの大男に詰め寄られ、一瞬ひるんだ灯だったが、すぐに身を屈めて後ろへ飛びすさる。




天城の太い腕がびゅんとつかみかかってきたが、その手は灯の頭巾をとらえただけだった。






頭巾を剥ぎ取られ、灯の髪がふわりと零れ落ちる。






「ーーーあっ、紅い髪!!」






息吹と天城の、驚きの声が重なった。






灯はちっと舌打ちをすると、くるりと身を翻した。






「待て、お前!! 逃げる気か!!



うちの大事な商売道具を置いていけ!!」






「……………」







息吹の鋭い声を背中に受けつつ、灯は無言のまま走り去ろうとする。





息吹は天城に目配せをして、「天城、追え!!」と指示を飛ばした。






「………蘇芳丸!!


待って、待ってってば!!」






汀はなんとか灯の腕から逃れようと身をよじるが、細いながらも硬く引き締まった腕はなかなか動かない。