*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

「ーーーーー待て!!



誰だ、お前は!!」






闇を切り裂くような鋭い声に、灯がゆっくりと振り向く。






汀も振り返ると、そこには息吹が立っていた。






「ーーー息吹!! 助けて!!


私、連れて行かれちゃうわ!!」






必死な声で汀が叫ぶと、灯は眉間に深く皺を刻んだ。






「…………助けて、だと?


連れて行かれる、だと………?」






怒りを抑えきれないような低く震えた呟きに、汀が顔を上げる。





そのとき、騒ぎを聞きつけた天城が慌てて奥から出てきて、燭台に火をつけた。






「………あっ、青瑞の姫さま!!」






見知らぬ男に抱えられた汀を見て、天城は蒼ざめて叫んだ。






「………この不届き者!!


姫さまをかどわかすつもりか!!」






天城はどすどすと灯に走り寄った。