*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

首根っこをつかんでいる男が唐突に声を荒げたので、汀はびっくりした。





(まぁ、なんでいきなり私のことを馬鹿呼ばわりするのかしら、このお客さまは)





そう思って、まじまじと男の風貌を見つめる。




暗いながらも、その影形には、見覚えがあるような気がした。






「…………いくら暗くて顔が見えないといっても、ふつう、声で分かるだろう!?」






苛立たしげで不機嫌な低い声に、汀ははっと息を呑んだ。






「…………んまぁっ!!


あなた、もしかして………蘇芳丸!?」






「…………やっと気づいたか」







灯は思いっきり険しい顔で答えた。







「あらまぁ、なんてこと!!


あなた、なんでこんな所にいるの!?」






「その言葉、そのまま返す!!」






「まぁっ、どういうこと?」






「〜〜〜〜〜もういいっ!!


とにかく、帰るぞ!!」