米を洗って水に浸している間に、せっかくなので包丁の使い方も教えようということになる。





朝摘みの野菜を洗ってまな板の上に載せると、汀に包丁を手渡した。






汀は「ありがとう」とにこにこ笑って、右手で包丁をがしりと掴んだ。







掴んだ包丁を思いっきり振り上げ、左手でしっかりと握った野菜に狙いをつける。






すううっと胸いっぱいに息を吸い込んで。







「はぁぁーーーっ!!」







気合の声を発して、一息に包丁を振り下ろそうとした、その瞬間。







「ーーーーーやめろっ!!」







駆け寄ってきた灯が、汀の右手を掴んだ。





汀の左手は、あわや指先を失う寸前に、なんとか刃先の脅威から逃れることができた。