しかし汀はあっけらかんと笑って答えた。





「ええ、そうなの。


炊いたことないのよ。


でも私、お米大好きだから、自分で炊けたらいいなぁと思って」






「………ほんとに、そんな簡単な炊事もできないわけ?


そんなことで、灯の花嫁なんて言われて、恥ずかしくないわけ?」






小桃の口調は、思わずとげとげしいものになってしまう。




しかし、そんなことに気がつく敏感な感受性など持ち合わせていない汀は、にこにこと首を傾げている。






「そうよねぇ、普通は花嫁さんって、お料理ができるものよねぇ。


まぁ、これから練習すれば、大丈夫なんじゃないかしら?」






せっかくの嫌味を右から左に流されてしまい、小桃は盛大な溜め息をついた。





女たちはそんな様子を微笑ましく眺めていたが、汀に急かされて、炊事の方法を教えはじめた。