黒松の言葉に、灯はひとり、げんなりと肩を落とす。





(あいつがその賞金首の話を聞きつけていたとしたら。


もちろん、あの阿呆が大人しくしているわけはない。



………なにか無鉄砲で考え無しな計画を立てて、面倒を起こしているに違いない………)






かなりの確信をもって灯はそう考えたが、かといって、汀がどのような行動に出たか、までは予想もつかない。





黒松は灯と群雲の顔を交互に見ながら、さらに言葉を続ける。





「そうなんですが、一つ、不思議な話を耳にしました。



賞金首になっている赤毛の男は、実は青羽山の盗賊だ、というものです」






「……………はっ!?」







灯と群雲の声がそろった。





黒松も、いつもの無表情を崩して、かすかに眉をひそめている。