またもや唐突な申し出に、女たちが驚く。




しかし一人の年かさの女が、「花嫁修行のつもりじゃないかい?」と小声で囁くと、皆がいっせいに頷いた。





「なるほどね」




「そういうことなら………」




「花嫁の先輩として、ひと肌脱いでやらなきゃね!」




「あはは、やだねぇ、あんたその顔で、花嫁なんで柄かい!?」






楽し気に笑い合う女たちを見ながら、内容は分からないながらも、汀も楽しそうに笑った。






そこに、近くを通りかかった小さな少女が足を止めた。






「………おばさんたち、おはよう」





女たちは顔を上げて、にっこりと笑う。






「小桃(コモモ)じゃないか、おはよう」




「今日は早いねえ」




「………うん………」






女たちの挨拶にろくに応えず、小桃はじっと汀を見下ろしている。