(この変な女は、賞金首になっている赤毛の男は青羽山にいるのだと、人々に思い込ませようとしていた。


つまり、赤毛の男を救おうとしていたわけだ。



そして、赤毛の男といえば………)







「ーーー西の白縫山の、火影童子か!!」






息吹が唐突に声を上げたので、汀と藤波は目を見開いた。






「………え、えっ!?


しらぬいやまのほかけどーじっ!?


なっ、なんのはなしかしらっ!?」






慌てた汀が、抑揚のない棒読みで無謀な誤魔化しを試みたが、息吹には通用しない。





「…………なるほど、な。


お前たちは、白縫党の一味か。



それで、都で賞金首になってしまった仲間、火影童子を助けるために、赤毛の男が青羽山にいるという噂を流そうとしていたのだな」





「……………」






非の打ち所のない息吹の読みに、汀も藤波も答える術がなかった。