「さて、お前たち」





息吹は片膝を立て、そこに乗せた腕で頬杖をつきながら、汀と藤波を交互に見た。





「なにか申し開きはあるかい?」





言われて、汀は首を傾げる。





「え? なんのお話?」





その様子を憐れむような目で見ると、息吹は藤波に視線を送った。





「ほら、お前の姉は訳が分からないようだぞ。


お前、代わりに答えろよ」





「はぁ………あの。


姉の行動は、ちょっとした悪戯心で……」





汀を助けるべく、もごもごと言い訳を始めた藤波に、汀は「まぁ」と声を上げた。





「悪戯なんかじゃないわよ!!


私はね、蘇芳丸を救うために、ああするしかなかったの!!」






生真面目な表情で言った汀を見ながら、息吹は訊ねる。





「…………蘇芳丸? 犬か?」





「ふふふ、犬じゃないわ、人よ」





「…………はぁ、そうか。


で、なんでその蘇芳丸とやらを救うために、お前は青羽山の盗賊に罪をなすりつけようとしたんだ?」






自分でそう言ってから、息吹は、はたと気づいた。





(…………ん?



ちょっと待てよ)





汀をじっと見つめながら、息吹は考える。