そして、自分が代わりに答える。





「………えーと、すみません、間違いです。俺たち、姉弟なんです」





藤波の言葉を聞いて、息吹は麗しい眉をひそめた。





「………は? 姉弟?


にしては似てないなぁ。


それにさっき、仲間と言ったじゃないか」






疑うような視線を受けて、藤波はあははと愛想笑いを浮かべる。





「すみません。姉はちょっと頭が弱くて。


きょうだい、と言おうとして、なかま、になっちゃったんです。



ほら、この変な格好を見ても、分かるでしょう?


こんな訳の分からない鬘を被って、男に変装して………姉は、ちょっと可哀想な人なんですよ、分かってやって下さい」






「…………ふむ」






息吹は汀の格好をじろじろと見直してから、納得したように頷いた。






好き勝手なことを言われて、汀はさすがに頬を膨らませたが、藤波に「何も言わないで」と囁かれて、黙っていた。