苛立ちを抑えきれない様子の灯を見て、群雲は内心で吹き出す。






「…………話は聞いたよ、灯」





「……………」






灯は黙って群雲を見つめ返す。






「どうやらお前のお姫さんは、都に行っても、やはりじっとしていられなかったようだなぁ」





「…………あぁ」






しみじみとした声音で群雲が言うと、灯は力なく頷いた。




群雲は力づけるように灯の肩を叩きながら言う。






「まぁ、藤波も一緒にいる可能性が高いようだから、大丈夫だとは思うが」





「…………そうだろうか」





「それでも、藤波には荷が重いだろうな」