「あーぁ、洗い物、終わっちゃったわ」





きれいに洗い上がって重ねられた器を、汀は残念そうに眺める。






糸萩は「お疲れ様でした」と笑って、露草に向き直った。





「露草さん、今日は谷の方に行ってみようか!」





「あ………はいっ。


お願いします、糸萩さん!」






初々しく頬を紅く染めながら見つめ合う二人の間に、汀が顔を出す。






「あらっ、二人とも、どこかに遊びに行くのね?


ねぇねぇ、私もついて行っていい?」






無粋な発言をした汀の手を、後ろで聞いていた檀弓が慌てて引いた。






「こらっ、汀!


空気を読みなさい、空気を!!」






「え、空気??」






首を傾げる汀は、檀弓に引きずられてずるずると家の外へ連れ出されていく。





そんな姿を見送り、糸萩と露草はくすくすと顔を見合わせた。