淋しいお月様

そもそも、私が上京したのは、簡単な話。

地元の企業で、同じ職場にいた、つきあって3年になる彼氏、静哉。

彼が、東京に転勤になったので、私もついてきたというわけだ。

しかも、私は仕事を辞めて。

遠距離恋愛なんて、したくなかった。

いつも静哉の傍にいたかった。

だから、実家の両親が止めるのを聞かずして、私は静哉を追って上京した。

静哉はそのことに、喜んでくれた。

お互い、27歳。

結婚を考えてもいい年齢だ。

だから、一緒に住みたい気分でいたのだけれども、静哉は会社の独身寮に入ってしまったので、私はそこで暮らすことができず、静哉の寮の近くに居を構えた。

1Kのアパート。

東京って、どうしてこんなに家賃が高いのだろう。

派遣の仕事じゃ、家賃を払って、光熱費を払ったら、手許に残るお金は雀の涙だ。

前の会社時代に貯めたお金を切り崩して生活している。