『TRRR……TRRR……TRRR……はい? もしもし?』

今度こそ、繋がった――!

「もしもし、ユウカ?」

『星羅? どうしたの?』

「あ~、いや、元気かなって思って……」

『ごめん、今、子どもを寝かしつけてるから、急ぎの用でなければ明日の昼間でもいい?』

「あ、そ……そうか。ううん。ごめんね。明日の昼間は仕事だし」

『そうなんだ。頑張ってね。じゃ』

そこで電話は切れた。

ふーっ。脱力。

ユウカは今、3児の母だ。

サトミもトモもユウカも学生時代の友人で、今はみんな私の地元で暮らしている。

上京したのは、私だけだ。

上京したのは、最近。その理由は――。

私はお月様を見上げて、そこに静哉(セイヤ)の影を見た。

上京した理由の根源、静哉に電話しようと思った。