淋しいお月様

気がついたら、開け放しの窓から陽光が射していた。

私はそれで、目が覚めた。

「あれ、いつの間にか、寝ちゃってたのか……」

私の独り言は、宙に舞う。

誰も受け止めてくれない。

「全部、飲んじゃったのか……」

足許に転がっている、空のワインの瓶を見て、また呟いた。

誰も返事をしてくれない。

「着信は、ナシか……」

手許にあった携帯を見てため息をつく。

静哉はノーリアクションだった。

幸い、昨日のお酒は残っていなかった。

宿酔いで具合悪い感覚はなかった。

時計を見ると、朝の10時半。

出勤まで、あと1時間ちょっとだった。