淋しいお月様

思い切って、ダイヤルしてみることにした。

画面をそのままタップする。

携帯を、耳に当てた。

『TRRR……TRRR……TRRR……』

静哉の携帯は、コール5回で留守電に繋がる。

『TRRR……』

4回目のコールで、私は携帯を耳から離し、切電ボタンを押した。

もういいよ。どうせ、出てくれないのだから。

――でも、折り返しの電話がくるかも――?

私は携帯を膝の上に載せ、微かな望みに願いを託した。

ワインを飲み、じっと待ってみた。

3分経っても、折電は来ない。

5分経っても、折電は来ない。

10分経っても……。