淋しいお月様

セイゴさんはそれを取って、私に渡してくれた。

「ありがとう」

「なんの」

私はぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。

ふかふかのぬいぐるみは、抱き心地が良かった。

セイゴさんからの、初めてのプレゼント。

大切にしようと思った。

そして私たちはゲームコーナーから出て、近くの売店へと歩き出した。

「遊園地といったら、ソフトクリームだよね」

「そうそう。みんな食べてるから、自分まで食べたくなっちゃうの」

私の言葉に、セイゴさんは笑顔を返す。

まぶしい太陽みたいな笑顔。

売店に着くと、セイゴさんは“バニラソフトをひとつ”と店員さんに言った。

「ひとつ?」

「うん、カップル食い、しよ」

ひとつのソフトクリームを、ふたりで分ける、ということだ。

「わ~、私やったことない」

「俺も。一度やってみたかったんだ」

ソフトクリームを受け取って、近くのベンチに座る。