淋しいお月様

「ほら、ペーパータオル」

静哉がロールタオルを持ってきてくれた。

「ペーパータオルなんてあるの? 静哉、そんな凝った料理するんだ?」

私は疑問を何気なしにぶつけた。

「あ、ああ」

「何に使うの? 家にはないよ」

「ん~、ほら、あれだ。あれ」

「落し蓋に使ったり? 灰汁とったり?」

「そうそう」

「油拭いたり?」

「そう」

「すごいね、静哉」

私の周りには、料理ができる男のひとが多いな。

なんて、またセイゴさんのことを思い出した。

そう。

ビールを零したショックで一瞬忘れてたけど、静哉にキスされる瞬間、セイゴさんの顔があたまにちらついた。

それを拭うかのように、私は一生懸命零れたビールをごしごしと拭いた。

「星羅~」

「わわっ」

静哉が急に、私に抱きついてきた。

「ねえ、そろそろ寝ない?」

私は壁の時計を見た。

「まだ、10時じゃない……」

「ちがくて。寝るって、やるってこと」