淋しいお月様

まるで、怒ってるような様子だった。

ずっと黙ってたから?

本当のことを隠してたから?

「すっご~い、星羅ちゃん。家に帰ったら、タクミがいるんだ!? そのお弁当も、タクミが作ったんだ!?」

葵ちゃんはキラキラした目で尋ねてくる。

「彼氏追っかけて東京に来たのに、今はタクミとつきあってるのか……」

クマさんがぼそっと呟く。

「ね、タクミの素顔ってどんなの? 優しい? 面白い? 家でピアノとか弾いてくれたりするの!?」

「星羅ちゃんが秘密主義なの、解ったよ」

テンションの高い葵ちゃんと、妙に冷静なクマさん。

私はどう対処していいか解らずにいた。

「つ……つきあってはいないの、私たち」

ようやく小さな声が出た。

「でも、写真に撮られたのは事実でしょう?」

クマさんが低い声で云ってくる。

「……」

私は、何も云えずにいた。