淋しいお月様

「わ~、今日もお弁当、可愛いね、星羅ちゃん」

クマさんが暢気に私のランチを褒めてくれる。

これ、実はタクミのお手製のお弁当だと知ったら、ユアさんはどんな態度に出るんだろう。

別に言うつもりはないけれど。

「タクミも……料理上手なんだよね……あ~、彼女にご飯作ったりしてるのかな……」

そう言って、髪の毛を掻き毟るユアさん。

「ん?」

クマさんが、ふと何かを思いついたように、声をあげた。

「ユア、ちょっとその記事、見せて」

何回も読み返したのであろう、週刊誌はボロボロの状態でユアさんの鞄から出てきた。

ぺらぺらとクマさんは雑誌をめくる。

そして、タクミの記事のところで、じーっと視線が止まる。

そして、私を見た。

じろじろと、舐めるように、見た。

「……SWEET HEAVEN……」

クマさんは、何かを呟いた。

そして、私の服を指差す。

私の今日の格好は、オレンジのパーカーにジーンズといった姿だ。

貧乏生活なので、あまり服飾にお金をかけられない私の、定番の服。

その、パーカーに書かれた英文字のことを、クマさんは云っていたのだ。

SWEET HEAVEN 白地ででかでかと書かれてある。