淋しいお月様

その、お昼時。

ユアさんと葵ちゃんとクマさんと、私と、勢ぞろいでランチになった。

ユアさんはお弁当の箱を空けずに、ずっと机に突っ伏したままだった。

「ユア～、いい加減、元気出しなよ～」

葵ちゃんが腑抜け状態の彼女に声をかける。

「ショック……。立川絵里の時もショックだったけど、今はもっとショック……」

「いいんじゃない、タクミが幸せにしてるんだったら」

葵ちゃんは大人な発言。

私は、我関せずといった風に、お弁当を広げ、お箸をつけていた。

「いいんだよ。立川絵里だったら。タクミと並んで、ふたり、絵になるもん。それが一般女性か……よっぽどの美人じゃないと、私は許さない……」

力なく、だけど、力強い発言をするユアさん。

「お陰で仕事ミスるしさ。安藤女史には叱られるしさ。あの女め……」

あの女、とは記事に書いてある女のことで、つまりそれは私ってことで……。

だけど、顔にモザイクがかかってるから、私ってことはバレないだろうけど。

それにしても、そうか……。

やっぱり立川絵里とつきあってたのか、セイゴさん。

だけど、立川絵里も、あたらしい恋人ができたみたいで……。

私としては、正直嬉しかった。

あまり彼女のところへ通う態度を見せなかったのも、そのせいなのかな。

もう、ふたりは別れてたのかな。