淋しいお月様

「上京したばっかりで、右も左も解らなかったわ。まあ、ぼちぼち友だちはできたけど。今でも親友はお酒よ」

あははと笑う彼。

「お酒、僕も好きだよ」

「見た目、未成年なのにね」

「童顔で困る。お酒買うのにも、いちいち身分証見せろって言われるよ」

「だろうね。若森くんの本当の年齢解ってても、未成年に見えるもん」

「ひでぇな」

そう苦笑いして、彼はまたドリンクを飲み干す。

「いつか、飲める機会があればいいね」

唐突の彼からの申し出。

「そうね」

「お金がないから、宅飲みかな」

私はふと考えた。セイゴさんがツアー中で家に来なくなって以来、私の部屋はまた元通りの物置小屋と化していた。

到底、若森くんを上げられる状態じゃない。