淋しいお月様

「はーっ」

私は大きなため息をついた自分に慌てた。

『なんだ、姉ちゃん。ため息か?』

インカムの向こうで、お客の声がする。

「い、いえ、くしゃみが出そうで――失礼いたしました」

『風邪かい? 気をつけてね』

相手が優しいおっちゃんで助かった。

いけない、いけない。

さっき、ユアさんとのちょっと時間の遅いランチが終わってからだ。

セイゴさんに彼女がいるって知ってから、何だか気分が浮かない。

別に、私はセイゴさんのことを恋愛対象だとは思っていない。

私には、静哉というひとがいるのだから――音信不通だけども。

でも、そっか。セイゴさん、彼女いるんだ。

改めて思うと、ちょっと相手の立川絵里にジェラシー。