淋しいお月様

「でもなあ~。タクミ、彼女いるもんな~」

ため息混じりにユアさんが云った。

「――えっ?」

「立川絵里。知ってるでしょ。清純派女優の」

「私、全然テレビ見ないし、解らない――」

すると、ユアさんがスマホをすっすっといじって、立川絵里なる人物の画像を見せてくれた。

なるほど、清純派だ。

白いワンピースを着て、目鼻立ちは整っているけれど、どこか儚げなお嬢様だ。

「セイ……タクミ、彼女いたんだ……」

私は何だか声のトーンが落ちてしまう。

「ね。ショックでしょ。昔から噂だもんね」

「初めて知ったよ……」