淋しいお月様

「スニーカーに似合う服着てくればよかったのに」

私が素朴な疑問を投げかけると、ユアさんは首を横に振った。

「タクミとのデートだもん。おしゃれして来るのが流儀」

ライブをデートだと云ってのける彼女。

「それに、白い服って、ステージ上から目につきやすいんだよ」

私は二度納得した。

葵ちゃんはボーダーのシャツに、シフォン系のスカートを穿いていた。そんな彼女が云った。

「星羅ちゃんも、おしゃれすればいいのに」

「私、あんまり洋服持ってないのよね。それに、無頓着だし」

私はオレンジのパーカーに、黒いスラックスといった出で立ちだった。

「よし、準備万端」

靴を履き替えたユアさんが、大きく息を吐き、座席に座った。

そして、手を組み、ステージを見つめる。