淋しいお月様

朝の9時からシフトで入ってる人もいるから、私が来る頃には人気のある端の席は埋まっている。

だから私は今日も知らない女の子に囲まれた席に座った。

50人もオペレーターがいるし、私はまだこの仕事に就いたばかりだし、中々仲のよい人ができなかった。

家でもひとり。職場でもひとり。

そこまで東京での生活に憧れていたわけでもないけれど、やっぱり知らない土地で知り合いができないのは心許ない。

その上、彼氏とは音信不通中だし――。

嫌でもため息が出てしまう。

インカムつけて、お客に聞こえたら失礼だから、待ち電中にまとめてため息を吐くようにしているけど。

『ピピッ』

電子音がして、お客からのコールが繋がった。

「いつもありがとうございます。にこにこカードセンターです」

義務化した挨拶で電話は始まる。

『あ~、もしもし? 引っ越したんで、住所変更お願いしたいんだけど』