「………よし。皆起きたね!」


「……よし。じゃないですよ!早くどうにかして下さいって!」


…えー。でも猛、そうしてないと起きてこないじゃん。もう少し頑張って?さくらんぼも乗っけてあげるから。」


「…分かりましたよ…」


半ば諦めた玲央くんと、彼に抱きついている猛と一緒にリビングへ向かう。

そこには、やはり誠くんと朝陽の姿しかなかった。


「…誠くん。やっぱりいなかった?」


「………うん。でもそのうち帰って来るだろーし。気にしなくていいよ。」


まだ、さっきの事で少し不貞腐れた様子の誠くんがそう言ったので、その時は気にしない様にした。


が、しかし―


それから1週間がたった。

それでも蒼空くんは帰って来ない。


「…今日で8日目…。」


私のせいで、蒼空くんが出て行ってしまっね皆に心配をかけていると言う罪悪感。

それと対照的な、どうしてそこまで拒絶するのかと言う怒り。


もうどっちが自分の本当の気持ちなのかが分からなくなる程、私の気持ちは滅入っていた。


「そんなに落ち込む事ないって。そのうちフラッと帰って来るから。」


蒼空くんが出て行って10日が過ぎた。


誠くんは、毎日気にして私に声を掛けてくれている。

でもね、誠くん。

私、知ってるんだよ?

誠くんが毎日蒼空くんや、蒼空くんの家に電話してる事。

それを知ってしまったから、私は余計罪悪感に包まれるの。


誠くんと話しをしていて、1人でそう考えていた時だった。


ガチャ…。


遠慮がちに。

本当に遠慮がちに静かに玄関のドアを開ける音がした。


「蒼空はそんなに引きずる奴じゃないし、すぐに帰って…「しっ」」


誠くんがまだ私を元気付けようとしてくれてしたが、私はそれを制止した。


微かにだが、靴を脱ぐ音も聞こえる。


玄関の方に耳を澄ます私に、誠くんは「なに…?」と怪訝そうに眉を潜めていた。

靴を脱いで中に上がって来た事を確認した私は勢いよく扉を開けた。