ラボから出てきた笹尾先輩は私の右側に着席した。

「奈々、俺より1年先輩だろ?」

「正確には8ヶ月です。」と言って私はしまったと思った。

ヘルパーに挫折したことを彼に知られたくなかった。

「なぜ6ヶ月のブランクがあるんだ?」

「その質問は業務外のことですので今答える必要はありません。」

私は小声で早口に言った。

「相変わらず論理的な答え方で相手にぐうの音も言わさずか?」

今の彼の言い方にあざけりは感じなかったけれど

私はまじまじと彼の顔を見てしまった。

「怒った?」

「いいえ。では発注時の注意点をお伝えします。」