特別っていうか、由くんだけの特権っていつやつだから。 茂木くんを下の名前では呼べないよ。 「ちぇ。全然千澄ちゃんがなびいてくれない」 「当たり前だろ」 いじけたように言う茂木くんに、由くんは眼鏡を触りながら呆れたような顔をする。 これも、今では見慣れた光景になった。 茂木くんに優しくされても、口説かれても。 免疫がついたのか、笑顔で流せるようになった。 あたしが好きなのは由くんだし、由くんも好きでいてくれてるって安心感があったから。