ドアを抜けるとき、誰かに肩が当たってしまった。 トンっと軽くぶつかっただけで転倒まではいかなかった。 「と、わり」 ぶつかってきたのは相手だが、周りに注意を払わなかった俺も悪い。 「…………平気」 ぶつかった相手は、ぼそりと聞き取れるかとれないかの声量で呟いた。