・・・私は”あの”場所へ向かう道中、そのことで頭がいっぱいだった。
もうすぐ”あの”場所へ到着する。
・・・っ!?
「桜ちゃんっ!」
三つ編みをしている6つ、7つくらいの着物を着た女の子が人形と遊んでいた。
「お人形さん、悲しいの?
寂しいの?
・・・うん、そっか。
じゃあ、桜と一緒に遊ぼ?」
桜ちゃんで間違いない。
優しく、あどけない声で人形に声をかけていた。
恐ろしく無表情で、恐怖でさえ感じる人形。
あの子が危ないかもっ・・・!
咄嗟に私は桜ちゃんの元まで走る。
しかし、だれか私を追い抜いて行った影が1つ。
「お母さん!」
影は桜ちゃんのお母さんだった。
「桜っ!
よかったわっ・・・
あなたが無事でよかった・・・。」
「お母さんっ!
今すぐ桜ちゃんから離れてくださいっ!」
私は必死に大声を上げる。
桜ちゃんの元まであと少し、というところで何かに弾かれた。
「痛っ・・・!
何が起こったの・・・?」
私は弾かれたあたりで手を突き出してみた。
すると見えない壁でまたも弾かれた。
私がそんなことをしている間も、桜ちゃんは人形に話しかけている。
ふと、桜ちゃんたちがいるところを見上げると、大木が生えていた。
突き出した太い枝には、2本の縄が。
しかもぶら下がっている先には輪が作られていた。
見えない壁の中にいる桜ちゃんのお母さんが凛とした声で話し始めた。
「うふふ、桜。
そのお人形さん、とても寂しがっているわ。
私たちで遊びましょう?」
お母さんの目は虚ろになっていた。
それにうなずいて答える桜ちゃんの目も虚ろになっていた。
怪異・・・!
私は髪を留めていた簪(かんざし)を素早く引き抜き、左の腕を簪で切った。
「く・・・っ。
痛・・・あっ!」
私は叫び声を上げながら悶える。
痛みのせいか、徐々に目に涙が溜まる。
私は下を向き、キュッと目を瞑った。
大粒の涙がポタポタと地面に落ちる。
しばらくすると、地面が音を立てながらムックリと膨れ上がった。
膨れ上がった部分から、真っ赤な腕が飛び出す。
それも10数本。
「こんなに出たの・・・
初めて・・」
真っ赤な腕は見えない壁のほうへ向かい、ドンドンと壁を叩く。
10数本の腕にたたかれた見えない壁は罅(ひび)が入り、割れた。
私は今にも首つり自殺しそうな母娘を止めるべく、赤い腕を避けながら桜ちゃんたちの元に向かった。
桜ちゃんの手から人形を奪い取り、大木の根に投げ捨てた。
お母さんと桜ちゃんの頭を私の体に寄せ、包み込むように体を丸めた。
赤い腕が出るとドッと、疲労感が体を襲う。
今回も例に習って疲労感が襲う。
腕の本数も関係して、そのまま意識を失ってしまった。
もうすぐ”あの”場所へ到着する。
・・・っ!?
「桜ちゃんっ!」
三つ編みをしている6つ、7つくらいの着物を着た女の子が人形と遊んでいた。
「お人形さん、悲しいの?
寂しいの?
・・・うん、そっか。
じゃあ、桜と一緒に遊ぼ?」
桜ちゃんで間違いない。
優しく、あどけない声で人形に声をかけていた。
恐ろしく無表情で、恐怖でさえ感じる人形。
あの子が危ないかもっ・・・!
咄嗟に私は桜ちゃんの元まで走る。
しかし、だれか私を追い抜いて行った影が1つ。
「お母さん!」
影は桜ちゃんのお母さんだった。
「桜っ!
よかったわっ・・・
あなたが無事でよかった・・・。」
「お母さんっ!
今すぐ桜ちゃんから離れてくださいっ!」
私は必死に大声を上げる。
桜ちゃんの元まであと少し、というところで何かに弾かれた。
「痛っ・・・!
何が起こったの・・・?」
私は弾かれたあたりで手を突き出してみた。
すると見えない壁でまたも弾かれた。
私がそんなことをしている間も、桜ちゃんは人形に話しかけている。
ふと、桜ちゃんたちがいるところを見上げると、大木が生えていた。
突き出した太い枝には、2本の縄が。
しかもぶら下がっている先には輪が作られていた。
見えない壁の中にいる桜ちゃんのお母さんが凛とした声で話し始めた。
「うふふ、桜。
そのお人形さん、とても寂しがっているわ。
私たちで遊びましょう?」
お母さんの目は虚ろになっていた。
それにうなずいて答える桜ちゃんの目も虚ろになっていた。
怪異・・・!
私は髪を留めていた簪(かんざし)を素早く引き抜き、左の腕を簪で切った。
「く・・・っ。
痛・・・あっ!」
私は叫び声を上げながら悶える。
痛みのせいか、徐々に目に涙が溜まる。
私は下を向き、キュッと目を瞑った。
大粒の涙がポタポタと地面に落ちる。
しばらくすると、地面が音を立てながらムックリと膨れ上がった。
膨れ上がった部分から、真っ赤な腕が飛び出す。
それも10数本。
「こんなに出たの・・・
初めて・・」
真っ赤な腕は見えない壁のほうへ向かい、ドンドンと壁を叩く。
10数本の腕にたたかれた見えない壁は罅(ひび)が入り、割れた。
私は今にも首つり自殺しそうな母娘を止めるべく、赤い腕を避けながら桜ちゃんたちの元に向かった。
桜ちゃんの手から人形を奪い取り、大木の根に投げ捨てた。
お母さんと桜ちゃんの頭を私の体に寄せ、包み込むように体を丸めた。
赤い腕が出るとドッと、疲労感が体を襲う。
今回も例に習って疲労感が襲う。
腕の本数も関係して、そのまま意識を失ってしまった。