パスワードを入れログインすると、サイトは最後の場面を一瞬だけ映し、画面を切り替えた。『このサイトは存在しません』とグレーの画面になると覚悟していたが、そこに現れたのは一本はURLだった。
なんの説明書きも添えられていない。それでも、これを見ることがお前のけじめなのだと、パソコンは諭す。早く押せとせかす。
ゴクリとつばを飲み込んだが、胸のざわめきは収まらない。迷いを隠しきれない。右手に喝を入れ、マウスをスライドさせた。
そのURLに矢印を合わせクリックすると、画面にはメジャーな動画サイトが。
そこには、大きな三角マークに隠れて男性が座っているのが見えた。
表題は『ナイトからのお願い』
再生数は百を超えている。『ナイトの国』の住人が、気づいた人から順番に見ているのだろう。もしかしたら、数回繰り返して見た人もいるのかもしれない。
気持ちは、私と同じなのだと信じたい。
三角マークの裏に見える男性は、30歳代くらいか、あるいはもっと上だろうか。
眉が太く、目鼻立ちのはっきりした顔立ちで、意思の強さが見て取れる。髪の毛は野球選手のように短く切りそろえられ、男性らしさを際立たせていた。
私が操作しなければ、この男性は……たぶんナイトであろう男性は動き出さない。でも、ナイトは何か伝えようと、この場にいる。居心地が良いわけがない。それでも、この場を離れない。
ならば、その現実を受け止めるのが私の役目なのだと言い聞かせ、私は再生した。
画像は、思いのほか動かなかった。
正確には、まぶたと唇の他は動いていない。
それが意図的ではなく、いたしかたない事なのだと、ナイトの座る車いすを見て分かった。その車いすは、お父さんの介護タクシーの常設する小さい車いすとは違い、頭までしっかり支えられるよう背もたれの長いものだ。
その車いすに全体重を預け、ナイトは人形のように座っている。
その動きからも、ナイトが重い障害を背負っていることは読みとれた。
動画の中の男性は、太く厳かな声で話し始めた。
なんの説明書きも添えられていない。それでも、これを見ることがお前のけじめなのだと、パソコンは諭す。早く押せとせかす。
ゴクリとつばを飲み込んだが、胸のざわめきは収まらない。迷いを隠しきれない。右手に喝を入れ、マウスをスライドさせた。
そのURLに矢印を合わせクリックすると、画面にはメジャーな動画サイトが。
そこには、大きな三角マークに隠れて男性が座っているのが見えた。
表題は『ナイトからのお願い』
再生数は百を超えている。『ナイトの国』の住人が、気づいた人から順番に見ているのだろう。もしかしたら、数回繰り返して見た人もいるのかもしれない。
気持ちは、私と同じなのだと信じたい。
三角マークの裏に見える男性は、30歳代くらいか、あるいはもっと上だろうか。
眉が太く、目鼻立ちのはっきりした顔立ちで、意思の強さが見て取れる。髪の毛は野球選手のように短く切りそろえられ、男性らしさを際立たせていた。
私が操作しなければ、この男性は……たぶんナイトであろう男性は動き出さない。でも、ナイトは何か伝えようと、この場にいる。居心地が良いわけがない。それでも、この場を離れない。
ならば、その現実を受け止めるのが私の役目なのだと言い聞かせ、私は再生した。
画像は、思いのほか動かなかった。
正確には、まぶたと唇の他は動いていない。
それが意図的ではなく、いたしかたない事なのだと、ナイトの座る車いすを見て分かった。その車いすは、お父さんの介護タクシーの常設する小さい車いすとは違い、頭までしっかり支えられるよう背もたれの長いものだ。
その車いすに全体重を預け、ナイトは人形のように座っている。
その動きからも、ナイトが重い障害を背負っていることは読みとれた。
動画の中の男性は、太く厳かな声で話し始めた。
