ただいま数学の時間。

もちろん興味なんてない。

しかもよりによってなんで一番眠たく

なる時間帯の午後に数学をするのかが

よくわからない。っていうか午後からの

授業なんていらない。

あ〜……。眠たい…。

……もういいや。寝よ。

そう思ってから1分くらいしてだろうか

、私はすぐに眠りについた。

* * *

『…よい………今宵。』

Iはっきりとしない声が私の名前を呼んで

いる。私が忘れるわけがないこの声は

叶汰。でも…姿は見えない。

「叶汰⁈………叶汰、どこにいるの⁇」

夢の中の私は白く霧のかかった世界を

必死に見渡して叶汰を探している。

『ここだよ、今宵。』

「叶汰‼」

いつのまにか叶汰は私から離れた場所に

立っていた。

でもおかしい。叶汰がいなくなって叶汰

の夢を見るようになってから、叶汰の声

が聞こえるだけで、姿が見えた事なんて

初めて。……なんで?

そう思った時だった。

「おーい。大崎。ねてんのか?

ねてんだったらさっさとおきろー。」

教科書片手に私の頭上から声をかけてき

た教師に起こされて、そこで私のなんと

も言えない夢は終わった。

にしても、あの夢の続きが気になる。

でも、なんだかいつもと違う夢のシチュ

エーションに少し怖くも思う。

叶汰は何か、私に伝えたい事でもあった

のだろうか。