「そして、お嬢さんが私を思い出してくださったら、私のために熱情ソナタ第二楽章を弾いてください。そうしたら、私は……お嬢さんを迎えに行きますよ」



ますます顔を真っ赤にさせた私を、余裕のある笑顔で見つめながら、りっさんが言う。


「お嬢さんが、ピアニストになられたら、私が支えます」


「……はい」


私は、りっさんが差しのべた手を震えながら握りしめた。その時、りっさんは何かを思い出したように言った。


「今日は、猫の日ですね」


「2月22日……」


「毎年お祝いしましょうね。猫の日はソナタの日、私たちのかすがい2つです」


今年の猫の日は、熱情ソナタと猫の「ソナタ」が導いてくれた、恋の成就の日になったのだった。


私の初恋は、ピアノの音色と共に始まった。


熱情ソナタ、あなたの心に届け。


2014.2.22


Happy Cat's Day!