「えっ、毎日?あたしが?」


予想外の言葉だったのか、きょとんとした顔で綺人を見つめる朱璃ちゃん。


当然だろう。


朱璃ちゃんは喧嘩に巻き込まれただけで、言わばただの被害者。


“BD”とは何の関係もないのだから。


此処に居るのは一時(イットキ)だけで、落ち着いたら何事もなかったかのように此処から立ち去る。


そう思っていたのだろう。


けれど、そう思っていたのは彼女だけで、私達BD幹部はそうは思っていなかった。


みんな、こうなる事を解っていたからだ。



朱璃ちゃんが奴等に見られてしまったあの時点で、私から電話が入ったあの時点で朱璃ちゃんの“BD”入りは決定していた。


朱璃ちゃんに拒否権なんてない。


これはもう“決定事項”なんだ。





「朱璃ちゃんが狙われる可能性があるんだ」

「……あたしが、狙われる?」

「そう。さっきの男達に」

「……っ、」




朱璃ちゃん、ごめんね。


朱璃ちゃんが暴走族と関わることになってしまったのは私のせいだ。


私があの場所に行かなければ朱璃ちゃんと会うことなんてなかった。



そして。



「だから、俺達と一緒にいて欲しい。


──それが、俺達の為になるから」




私があの場所に行かなければ、“BD”に弱点を作ることなんてなかったんだ。