白銀のヴィーナス



「空手の黒帯ってキミそんな強いの?」


「えっ……と、強いかどうかは分からないんですけど、一応黒帯は持ってます」



みんなの驚きように恥ずかしくなってきたのか、目線を下げてしどろもどろになっている女の子。


恥らうその姿がまた可愛いらしい。



っていうか。


本当に、ほんとーに今更なんだけど。



「アンタ、名前何なの?」



女の子の名前、聞いてなかったよね。



「あ、言われてみれば聞いてなかったかも」



私の問い掛けでやっと気付いた頼さんがポンッと手を叩いた。

ちなみに本日二回目。


目の前では、咲斗と唯斗も「あっ」と思い出したように目を見開いていて、士騎と綺人には大した変化は見られない。



「あ、あたしは日高 朱璃(ヒダカ アカリ)って言います。朱色の朱と瑠璃の璃で朱璃です」



名前だけじゃなく、丁寧に漢字まで教えてくれる朱璃ちゃん。


それに頼さんが「ありがと」と笑顔で返す。


そんな頼さんに反して、士騎が抑揚のない声色で朱璃ちゃんの名前を呼んだ。



「は───っ、」



けれど、振り向いた瞬間、朱璃ちゃんの顔が一瞬にして強張った。


いや、朱璃ちゃんだけじゃない。その場にいた全員の顔が強張った。


無表情でいたのは士騎の隣にいた綺人だけ。



そんな綺人の口から飛び出したのは──



「朱璃、明日から毎日此処へ来い」



朱璃ちゃんをBDに縛り付ける言葉だった。