「立ち話もなんだし上へ行こうか」
頼さんのその言葉で幹部室へと向かった私達は各自定位置となっている場所へと座り、頼さんが淹れてくれたコーヒーを飲んだ。
「コーヒー美味しいですねっ」
「……あぁ」
勧めてもいないのに何故か私の左隣へ座っている女の子は終始笑顔で。
私と掛け離れ過ぎているその態度にどう対応していいのかが分からない。
そもそも、なんでこんなに懐かれているのだろう。
これはアレかな。最初見たものを親だと思う的な?
まぁ、悪い気はしないから良いけど。
「じゃあ、本題な」
一息ついたところでそう切り出したのはツートップの内の一人、士騎で。
その言葉に和やかな空気が一変し、みんなから笑顔が消えた。
それと同時に、士騎の真っ直ぐな瞳が私を貫く。
「レイ、最初から説明出来るか?」
「……あぁ」
私は隣にいる女の子を一瞥した後、さっき起きた出来事を詳しく説明した。
城を出て少しした所で数台のバイクに追い掛けられたこと。
行く先々に敵が現れ、応援を呼ぶ為公園へ逃げ込んだこと。
そこで電話しようとした時、前に助けた女の子に声を掛けられたこと。
そして、運悪く敵に見つかり、喧嘩したこと。
ついでにその時女の子に助けて貰い、女の子が空手の黒帯だということも、包み隠さず全てみんなに話した。
──けど、一つだけ。
聖達のことは話さなかった。


