白銀のヴィーナス



「───レイ」


髪の毛を整えている女の子にキュンキュンしていると、不意に届いたのは地を這うような低音ボイス。


振り返れば、そこに居たのはこの“黒神の城”のトップ、一条 綺人だった。





「無事か?」

「まぁ、何とか」



無事か、と聞かれれば無事だ。


怪我もしていない。


けど。



「……ごめん。一般人巻き込んだ」



何の関係もない一般人を巻き込んでしまった。

しかも女の子。



「電話の女か」

「そう。っていうかこの子、綺人達と初めて会ったあの喧嘩の時に助けた女の子だよ」

「……あの時の?」



一瞬目を見開いた綺人が私から女の子に視線を移す。



「………」



けど、あまりピンときていないようだ。


綺人、他人にあまり関心ないからな。




「あ、うん。確かにあの時の子だ」



数十秒経ってようやく思い出したらしい頼さんがポンッと手を叩いた。




「そ、その節はありがとうございました!」

「いえいえ。二回も巻き込んじゃってごめんね?」

「い、いえ。元はと言えばあたしが……」



と言ったところで急に私の方へ振り向いた女の子。


ん?と訝しげに首を傾げれば。



「えっと……レイ、さん?」



何故か名前を聞かれた。