白銀のヴィーナス



「……へぇ。消さないんだ。じゃあ」



──潰すまでだ。



そう言うや否や、私は持っていたスマートフォンを真後ろにいた女の子に手渡した。



「電話の人に此処の場所と状況説明して!」



力一杯そう叫んだ後、手前にいた男の懐に瞬時に忍び込む。



「…ゥグ……ッ」

「えっ?説明?」



男が呻き声を上げるのが先だったか、女の子が素頓狂な声を上げるのが先だったか。


どちらかは定かではないが、同時に声を上げた二人の表情は正反対で。


地面に片膝をついた男を横目に、私は隣にいた脇腹に膝蹴りを食らわせた。



「……ッ、テメェ!!」



倒れたのと同時に地面へと転がったスマートフォン。


直ぐ様それに手を伸ばしたが、背後から出てきた男に阻止されてしまった。



「邪魔なんだよ!!」



男の足を払って体勢を崩し、腹部に拳を捻じ込む。


そうこうしている内に転がっていたスマートフォンは別の男の手に。



「……チッ」



思わず舌打ちが飛び出した。