白銀のヴィーナス



公園に入って百メートルほどした所で左方の林に目を向け、居るであろう聖達の姿を探した。


聖達が現れるとしたら多分この辺だろう。



「……いた」



案の定、遊歩道から少し離れた林の中で聖達の姿を見つけた。


暗いから表情は見えないが、向こうは電灯の光で私の姿が見えているはず。


そう思った私は首を横に振り、此処から立ち去れという意味を込めて左腕を大きく後ろへと振り上げた。


これで聖達のことは気にせずに奴等と向き合うことが出来る。



でもその前に、今のこの状況をBD幹部に伝えた方がいいと思った。


運が良ければ此処へ駆け付けてくれるかもしれないから。







枝分かれした遊歩道をジグザグに進み、見えてきたのは大きな広場。


この広場はこの公園で一番広く、子供たちが遊ぶ遊具がいくつも置いてある。


その広場で私が目を付けたのは右端にある公衆トイレだった。



あそこなら隠れて電話が出来るだろう。



そう思った私は広場に入ったところでエンジンを止め、バイクをその場に置いてダッシュした。


走りながら手にしたのはBD専用のスマートフォン。


けれど、走りながらスマートフォンを操作するのは困難を極める為、操作するのは一先ず後にして公衆トイレの裏へと回った。


身を隠したちょうどその時、広場に鳴り響いたのはバイクのエンジン音。