白銀のヴィーナス


「さて、と。サキも起きたことだし本題に入るか」


綺人が定位置に戻ったのを見届けたところで士騎がそう切り出した。


咲斗以外の三人は真剣な表情で士騎の言葉を待つ。



「さっき、風神の永瀬から連絡が来た。夜中、幹部が一人やられたらしい」

「……幹部?誰だよ」

「真崎だ」



真崎?

それって副総長の?



「やられたと言ってもボコられた訳じゃねぇ。襲撃にあったってだけだ」

「じゃあ……」

「あぁ。多少怪我はしたらしいが問題はない」

「……そっか。良かった」



……良かった、ね。私は全然良くないと思うけど。


だって、この一週間毎日のようにBD関係の人間が襲撃に遭ってるんだよ?


大した怪我じゃなくても回数を重ねればいずれ体力が消耗し、潰される。


それはイコール、“トップの座”が奪われるということだ。



「昨日のはどこの誰だか分かってんの?」

「それはまだ分かっていない」

「……手を組んでる可能性は?」

「多分無いと思う」

「……そ」


多分、ね。