「レイくん、いつものでいい?」
「うん。ありがとう」
「いーえ」
唯斗から貰った飴をポケットに入れて、今や定位置となった四人掛けソファーの右端に腰を下ろす。
すると、私の後ろにいた唯斗が「俺、レイくんの隣ー」と言って隣に座った。
一方、唯斗の片割れである咲斗はと言うと、向かいの四人掛けソファーでスヤスヤと寝息を立てて寝ていた。
……可愛いな、オイ。
起きている時は仏頂面の時の方が多いけれど、寝ていると無防備なせいか可愛いく見える。
是非とも唯斗と二人並んで寝て貰いたいものだ。
「レイくんどーぞ」
「ありがと、頼さん」
コトン、とテーブルの上に置かれたのは私の好きなブラックコーヒー。
どうやら頼さんの中では“私=コーヒー”という方程式が成り立っているらしい。
「サキ、起きろ。サキ」
「………」
寝ている咲斗の隣に腰を下ろした頼さんが寝入っている咲斗を揺すって起こす。
けど、眠り込んでいるのか何度揺すっても起きる気配はない。
「……ったく。綺人」
そんな咲斗を見て士騎が綺人を呼んだ。
呼ばれた綺人は読んでいたバイク雑誌をゆっくりと閉じると、無言で腰を上げ、咲斗に寄っていく。
……オイオイ。総長自ら動くんですか。


