「アイツ等に目をつけられる心配がなかったらこんな格好しないのに」
私が変装している理由は馬鹿なギャル達に合わせる為だけじゃない。
寧ろ、こっちの方が重要な理由だ。
輝一が変装している理由と全く同じ。
「言えてるー。アイツ等がいなかったらキンパで行けるのに。カツラとかホント面倒臭ぇ」
「同感」
──“アイツ等”。
それは、私が先日仲間入りしたばかりのBlack Deity、
通称【BD】の幹部達のことだ。
「あ、屋上に綺人さんと士騎さんがいる!」
「ホントだ!サキくんとユイくん、頼さんも!」
屋上を見て、黄色い声を上げる女の子達。
見上げれば、確かに“彼等”は屋上にいた。
「Black Deity」
そう。
私と輝一は接触する前から知っていた。
「──行こう」
「あぁ」
私達が変装する“原因”は同じ学校に通うBD幹部達から身を隠す為だ。
彼等が同じ学校でなければ、私達は変装なんて面倒臭いことをせずに済んだのに。


