「相変わらず学校での彩未は愛想良いよな」

「どこが?」

「分かってるくせに」


隣に並んだかと思えば意味ありげな笑みを向けてくる輝一。


やっぱり面倒臭い。



「面倒臭いのは嫌いだって知ってるでしょ」




そう。面倒臭いのは嫌い。


ただでさえ学校なんて面倒臭いものなのにこれ以上ややこしくしたくないし。



「確かに“コレ”が一番目立たないもんなー」


そう言って、輝一がおもむろにつまんだのは長ったらしい自分の前髪。


それは輝一の言う通り、輝一らしくない普通の髪色だった。



「似合わない」


焦げ茶色の髪の毛は毎日見てても違和感がある。


輝一はやっぱり本来の髪色、金髪じゃないと落ち着かない。


でもまぁ。


「もう外してもいいんじゃない?」


黒縁眼鏡よりマシだけど。



視線の先にはこれまた似合わない黒縁の眼鏡。


もう、見るたび鳥肌が立って仕方ない。


私的に茶髪より許せないのがこの黒縁眼鏡だったりする。



「毎日毎日俺の顔見る度そんな顔すんなよな。俺、結構似合うと思ってんだけど」

「そう思ってるのはアンタだけだよ」

「……ひでぇな、お前」



茶髪に眼鏡。

似合わないそれはモチロン“掃除屋”である本当の姿を隠す為。



「お前だって似合ってねぇよ、そのカツラ」


まぁ、それは輝一だけじゃなく私にも言えることだけど。