「俺達幹部も下の奴等もね、正直どっちでも良かったんだ」

「……どっちでも良かった?」



フッと柔らかい笑みを零した頼さんに疑問が過る。


だって、“どっちでもいい”だなんて何だか投げやりに聞こえるから。



「そう、どっちでも良かった。だって、二人は同等の“力”を持っていたから。“総長”に必要な“強さ”も“信頼”も“カリスマ性”も」



“強さ”と“信頼”と“カリスマ性”……。



「“総長”と“副総長”なんてただの“肩書き”。俺達BDメンバーにとったらそんな肩書きどうでも良かったんだ。

どちらが“総長”になっても文句なんて言わない。BDの“トップ”は士騎と綺人の二人。前総長がいた時からそう思ってたから」


「………」


「っていうか、そう思ってるのは俺達BDだけじゃないけどね。この地域にいる族関係者は皆そう思ってた。Black Deityの“次期総長”は二人いる、と」


「………」



なるほど。そういう事だったのか。

士騎と綺人が二人掛けソファーに並んで座っていた理由(ワケ)は。

謎が解けてスッキリした。