白銀のヴィーナス



下っ端達の声を掻き分けながら、ゆったりとした足取りでこちらへと歩いてくる幹部達五人。


問い掛けてきた男は確かあの時、私を追い掛けてきた男の内の一人だったと思う。


名前は……“士騎”って言ったっけ。




「いつから気付いてた?」



……いつから?



「コイツが吼えた時から」



そう言って私が指差したのは、未だに座り込んだままの男。



「じゃあ最初からか」



その男を見下ろして、チャラ男がククッと喉を鳴らす。



っていうかさ。



「普通喧嘩しようとしてたら止めに入らねぇ?」



仮にもアンタ達BDの幹部でしょうが。

下っ端が心配じゃないの?



「入らねぇよ」

「は?」

「ワザとだからな」

「………はぁ?」



って、どういう意味?

さすがの私も意味分かんないんだけど。