「今、奴等が相手してるのはここらでNO2の“綺羅(キラ)”。情報によると、奴等かなりしつこいみたいで、何回も負けてんのに懲りずに挑み続けているらしい」

「……ぷっ。しつこいとか輝一みてぇ」

「は!?冬威(トウイ)てめぇ──」

「輝一」

「………」



聖(ヒジリ)の制止にピタッと止まった輝一。


流石に聖には逆らえなかったらしく、輝一は叱られた子供のように口先を尖らせて黙り込んでしまった。


それを見ていた航太(コウタ)はクスッと小さく笑った後、静かに続ける。



「それに、奴等に喧嘩売ってんのは“綺羅”だけじゃないみたいだよ。“麒麟”に“疾風”、“石榴”に“ZERO”。その他にも色んなチームが奴等、“Black Deity(ブラック ディエティ)”を狙ってる」

「………」

「あそこに入ったら確実に巻き込まれるよ。それでも入るつもりなの?」

「………」

「彩未」



ジッと向けられる視線に、そっと目を閉じる私。



「……そう」



それは私なりの返事だった。


航太だったら言葉にしなくてもそれだけで理解してくれると解っていたから。