ポケットに両手を突っ込んでいざ出陣。
目的地まで一切の迷いなく真っ直ぐに突き進んでいく私の両足は彼等の敷地に足を踏み入れるまで止まることはなかった。
「誰だテメェ!?」
そんな私の足を地に縫い止めたのは、目が合ってすぐに牙を剥いてきた下っ端らしき三人。
いや、違うな。この場にいる全員か。
どうやら“侵入者”には即噛み付けと教えられているらしい。
教育がされていて何よりだ。うん。
「えーと、お宅んとこの総長サンに聞いてない?俺が来ること」
威嚇する彼等に対して私の口調は至って平静。
こういう時は下手に刺激しない方がいいからね。
「あぁ!?テメェが入って早々幹部になるって言ってた奴か!!」
けれど、こっちがそう思ってても駄目な時は駄目らしい。
どうやらどんな態度を取っても面白くないようだ。
っていうか。
「俺、幹部になれるんだ」
来て早々結果が聞けるなんてラッキー。
「ふざけんな!!俺達はお前が幹部になること認めてねぇんだからな!!」